漂鳥帖



○峠に関する二三の考察

自分の空想は一つ峠会というものを組織し登山部の向こうを張り、春休みには微章か何かをつけて珍しい峠を越え、その報告をしゃれた文章で発表させることである。ナントカ峠の表七分の六の左側に雪が電車の屋根ほど残っていたなど言うと、そりゃ愉快だったろう、などと仲間で喝采するのである。さぞかし人気の無い入会希望者の少ない会になるであろう。冗談は抜きにして峠越えの無い旅行は、正に餡の無い饅頭である。昇りは苦しいと言っても、曲がり角から先の道の付き方を想像するだけでも楽しみがある。峠の茶屋は両方の平野の文明が、あるいは争いあるいは調和しているところである。殊に気分の移り方が面白い。更に下りとなれば何のことはない、成長していく快い夢である。頂上は風が強く笹がちで鳥屋の跡などがある。

○風のハルカ

NHKの連ドラ「風のハルカ」は来週が最終週。旅行に出る前は告白されてたのに、なぜか結婚していない。代わりに映画撮影の話が舞い込んでいる。一体何があったのだ・・・?

○自転車に詳しくなって

大好きなドラマだったが、織田裕二主演で「金のないやつ」というドラマがあった。ありえないほどビンボーなサラリーマンを主人公にしたものだった。その最終回のラストシーンは小さい自転車に乗りにくそうに乗る織田裕二でスタッフロール、というものだった。折り畳み自転車の存在を知らなかった僕は、「ああ、ビンボーサラリーマンだから、子供用自転車を息子と共用してるんだな。」と思ったものである。

そんな僕がここ半年ほどの間に、「耳をすませば」の自転車を見て「お、数万円のランドナーか。」なんて思ってしまうほど自転車に詳しくなってしまった。歩道との段差で体重移動を利用して衝撃を吸収する乗り方を身につけたり。街中でついつい前を走っている自転車のスリップストリームに入ろうとしてしまったり。これだけは変な人に尾行されてる、と勘違いされかねないのでやめた方がいいのだが。

○卒業式

M大学法学部にいる友人が今年卒業する。「卒業式に来て。」と言われていたのだが、「四国を自転車で一周すんねん。無理や。」と一度は断った。大体、俺の子じゃなし孫じゃなし、なんで仲がいいだけで卒業式に出てやらんとあかんねん。でも、緊急事態が発生して東京に戻ってきてしまった以上、どーせなら出席してやるか、ということで出席した。

この大学では午前に商学部、午後に法学部の卒業式を行う。来賓の人は商学部出身で、やたらと専門の経済用語を使って、滔滔と日本経済について語っていた。僕が理系だから分からないのかな、と思って念のために法学部の友人に「分かった?」と聞くと、「分からんかった。」だと。午前の商学部用に作った「はなむけの言葉」を午後の法学部の卒業式に流用しているらしい。実にいい加減な来賓である。

○柳田国男

「おい、峠に関する二三の考察、どっかで見たことある文章だな。」と思ったそこのあなた、中々するどい。秋風帖を現代仮名遣いに直しただけです。

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