五日目 東京へ



五日目
8月30日火曜日

周囲に街灯もなく、空気は当然澄み渡った南の孤島。満天の星空、という言葉はこの夜空のためにあるのだろう。眩しすぎるくらいだ。その星空の中を、飛行機がライトを点滅させながら通り過ぎていく。

きれいな夜空だった。5時起床。
東の多幸湾へと島を縦断する。この多幸湾周辺は椰子等の南国風の木が植えられたキャンプスポットだ。北に櫛ヶ峰が見える。その櫛ヶ峰の斜面は黒曜石の黒と火山灰の白が縦縞をなしている。南国風の木といい、縞模様の山といい島の西側とは趣が全く異なる。
松山展望台、三浦展望台を巡る海岸の断崖沿いの道を時計回りに走る。雲がかかり朝日は見えないが、その雲の間に一箇所開いた穴から光が差し込み、海の上が一箇所だけ明るく輝いている。
さらに走ると神津島空港が見える。空港といっても、調布飛行場と一日三便結んでいるだけのかわいい空港だ。
ありま展望台、ヘリポートを経由して集落に戻る。

9時40分、総排水量4900トンの大きな貨客船さるぴあ丸に乗って島を後にした。

船の中で隣同士になったのは、愛知の大学一年生。ツーリング部の人らしく、スクーターに乗って人生初めての単独ツーリングを行っているそうだ。ちっちゃなバッグ一つに荷物を詰め込み体当たりの旅行に出てきた僕と異なり、大きなザックとヘルメットを装備した本格派、今まで東日本中を旅してきたらしい。「スクーター&大きなザック」と「ママチャリ&ちっちゃなバッグ」ではその階級の違いは明らか。彼の装備が取締役なら、僕の装備はヒラの窓際族だ。とはいえ装備の社会階層は違っても、同じ旅をしてきた彼とは気が合うから不思議だ。

30日
走行距離 23.46キロ
一日目からの積算走行距離 399.45キロ
走行時間 約3時間

次回―後書き 虚構の摩天楼は本物の街東京亜大陸

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東京亜大陸横断記

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