生まれながらの冒険者



子供の頃から自分に冒険者の血が流れていることは薄々感づいていた。未知に憧れ、既知や慣れをとことん嫌う血。

小学一年生の時のこと。
ある日下校の最中に突然目の前に続く道を果てしなく歩きたくなって歩き続け、PTAや警察が「誘拐か?」と大慌てで探し回ったのは何を隠そうこの僕である。親にはカンカンにしかられてその晩は食事抜きだった。翌日、クラス会で担任にこってり絞られたものだ。

やはり小学生の時のこと。
アムンゼンの極探検記、海底二万里、大草原の小さな家、ガンバとカワウソの冒険。胸をときめかせ、数々の冒険小説を読みふけったものだ。

大学に入った途端、勉強しなくなったのだってこの血のおかげだ。高校までは、習うこと全てが新鮮だったし、科学の世界は底深い神秘をたたえていた。でも、大学では習うことは既に一度やったことがあるような内容ばっかり。科学者達は「にゅーとりのー(?)」だか「だいとーいつりろんー(?)」だか知んないが、どうでもいいようなことを研究するのに躍起になっている。科学だけじゃない。文学の世界だって、「十六世紀中南部太平洋における口承文学に見られる十二世紀欧州文学の影響」みたいな何の役にも立たないことを研究することに躍起。どう考えても、ペンペン草も生えていない学問の大草原でだんご虫一匹を探しているようにしか思えない。

おっと、どさくさに紛れて大学の単位を落としまくっていることの言い訳をしてしまった。失礼。前の段落は読まなかったことにしてくれ。話を戻そう。兎に角、僕には冒険者の血が流れている。

以前は科学の世界に見出していた、未知。その未知を、今強く感じているものがある。それは世界一周チャリ紀行。これが今の僕の夢。
とはいえ、現実は甘くない。大の大人がプー太郎として、一年間世界一周チャリ紀行を行うことを許してくれる程日本経済に活力はないし、よしんば、その活力が日本経済にあったとしても、僕に世界一周をやり遂げる体力、経済力があるかは分からない。それに「世界一周する」なんて言い出せば親や友人が黙っていないだろう。
そんな世界一周に思いをよせる僕が、いつの日か行いたい世界一周チャリ紀行の予行演習としてやろうとしているのが、日本一周チャリ紀行である。今回の旅は、その第一路だ。

・・・と所謂「男のロマン」を語ってみたが、やっぱり落ち着かない。こういうロマンを熱く語るのは性に合わん。すまん。慣れないことをすると悪寒がしてくる。今まで書いたことはきれいさっぱり忘れてもらいたい。

次回―冒険者の足―自転車は赤兎馬鹿

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