奥州街道を歩く―宇都宮の自動車教習所―

朝の７時頃家を出る。わずか一文で宇都宮到着。集合場所に何人か集まっている。９時５０分集合のはずだが１０時５分になってもまだ、教習所の迎えが来ない。暇なので、メンバーを紹介しようと思う。

	住んだことあり
	行ったことあり
	物心つく前に 行ったことあり
	通ったことあり
	行ったことあるか 不明

まず、ピッパ。今回の旅行の主人公である。関西出身。東京在住の男子大学生。生物学上は霊長類化学科に分類される。やや口が悪く子供っぽい。よく言えば純粋で夢のある少年。散策の習癖あり。ちなみに駆け出しSTBistで、今回の旅に出る前の時点でSTB経験は２年３回（駅寝２回、バス停寝１回）。ついでに今までに行ったことのある県を地図にしておく。

次に、島根出身の大学生。通っている大学はピッパと同じだが、ピッパと違い大人びている（かのように見える）。ただ、９時５０分集合にも関わらず、一人だけ１０時頃重役出勤してきた。ちなみに、住民票と教習代の領収書の二つはこの免許合宿に持参必須だったのだが、この少年は二つとも忘れてきた。大慌てで親に住民票を送ってってメールしたら、その親は親自身の住民票を送ってきた。・・・こんな諺使うの久しぶりだが、使わせてもらおう。この親にしてこの子あり、だ。以後、この少年は二代目と呼ばせて頂こう。彼の趣味は将棋と酒。ただ、どちらも下手の横好きの感あり。

それから、栃木出身で高校卒業したばかりの新社会人。速度違反、寝坊多し。格好をつけながら「ミラー、ミラー、合図、ミラー、ミラー、目視。」と言うのがお好き。・・・以後、この少年はミラーミラーのイケメン君と呼ばせていただこう。彼の趣味は卓球、おしゃべり、速度超過。

ちなみに、今同期のやつを紹介したが以後話に出てくることは多分無いので忘れていただいて結構だ。

ここで、やっと教習所の迎えが来たので、教習所へと向かう。僕は寛大だから、２０分も遅れてやって来て謝罪も無しかよ、とは怒らないでおいてやろう。しかし、二点だけ言わせてくれ。教習所の車だろ？信号無視はいけないよ。それから、宇○宮戸○教習所だからって「宇戸祭教」ってでかでかと車体に書くなよ。新興宗教みたいじゃないか。

さて、到着してすぐに昼食である。しかし、ナンだね。僕は味より量派だ。少々の不味さなら我慢できるのだが・・・。不味い、不味すぎる。おでんは冷え切ってるし、みそしるは、紅茶パックを五回使いまわすといううすいさちお28才独身様じゃないか。おっと、微妙なネタだ。水に流していただきたい。あ、水が無かったら水のように薄いこのみそしるでもいいけどね。

食後は学科である。いや、正確には、食後の睡眠である。ビデオを使って講義をしてくれるらしい。ま、最初だしやっぱり起きといてやるか。・・・ありえん。

ボーイ・ミーツ・ワールドというアメリカのコメディードラマをご存知だろうか。数年前、NHK教育テレビで水曜日午後７時頃放映されていた番組だ。なかなか面白かった。そこに主人公の小学生コーリー・マシューズが性教育の啓発ビデオを見せられるシーンがあったのだ。まじめに見てないコーリーはフィーニー先生に叱られると「だって、出演してる俳優、もう死んでるじゃん。」と食ってかかる。

そのコーリーの気持ちだよ。なんだ、講義に使うビデオ位、新しいの買えよ。今時そんな髪型のやついないぜ。西城秀樹とか、太陽にほえろとか、インベーダーゲームとか、そんな言葉が飛び交いそうなビデオの中のドライバーに、ナレーション。嬉しいな、宇都宮まで来て日本史の授業受けられるなんて、あ、後、栃木弁の授業もね。

そんなこんなで一日がくれた。苦情なら山ほどある。不味い食事、横柄な事務員、高圧的な教員、狭い部屋、テレビの音をやたらと大きくする同室者、NHK総合がなぜか映らないテレビ、変なにおいのするクローゼット、スモーカーだらけの教習所。もういいよ、風呂にでも入るか。・・・。

高校の時、地理の先生がね、面白い話をしてくれた。フランスでは市場防衛のために国内規を国外規格とずらしてるって。自動車のハンドルを右に切ると左に曲がって、左に切ると右に曲がるって。勿論、それはアネクドートなんだけどね。でもさ、おい、普通さ、赤い蛇口ひねるとお湯が出て、青い蛇口ひねると水が出るよな。そんなに頑張って栃木の市場って防衛しなきゃいけないのかよ。

天邪鬼のお風呂。翌日は朝八時半から講義が入っているにもかかわらず、ガラスの扉一枚を挟んだラウンジで深夜４時過ぎまで卓球をして騒ぐ若い人達。その声が響き渡る部屋で布団に横になりながら、余りにもひどすぎる栃木の教習所に、不安を覚えたまま眠りにつくのであった。

さて、次回は「奥州街道を歩く―宇都宮、大谷石―」。

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